米国カリフォルニア州エルドラド・ヒルズ -2006年8月21日― エンベデッド・マイクロプロセッサ・ベンチマーク・コンソーシアム(EEMBC)は本日、IBM社PowerPC 970FX のTeleBench™通信機器ベンチマークスイーツについて、組み込み向けプロセッサとして記録的なスコア値が得られたことを発表します。
2GHzのクロックで動作するIBM社PowerPC 970FXは、GCC自動ベクトル化コンパイラを用い、ベクトル/SIMDマルチメディア・エクステンション・テクノロジーを使ったFull-Fury最適化処理を用いることで、1058.7 Telemarkスコアを達成しました。また、アウト・オブ・ザ・ボックスに関して、PowerPC 970FXは141.8 Telemarkスコアを達成しました。このスコアは同じデバイスに関して異なるコンパイラを用いて得られた前回の記録と比較してもさらに182%の性能向上になります。
IBM PowerPC 970FXはネーティブに32bitアプリケーションソフトウェアと互換性を持つ64bitプロセッサです。このデバイスは広帯域データ処理ならびにアルゴリズム指向性の強い数値演算処理をサポートするベクトル/SIMD機能を内蔵します。動作周波数1GHz-2.2GHzをサポートするPowerPC 970FXは64bit対応能力を持つ最初のOEM向けPowerPCプロセッサです。 また同時にIBM社として最初のVMX対応能力を持つプロセッサとなります。
「ハイエンド・プロセッサは今まで以上に組み込み製品に採用されてきております。OEMは伝統的なサーバー向けベンチマークよりもアプリケーションにより特化した性能評価のできるベンチマークスコアを求めています。」とEEMBC会長マーカス・レビーは述べています。さらに「PowerPC 970FXのTeleBenchスコアを公表することで、IBM社は、顧客に対し、プロセッサに関して高い付加価値と信憑性のある情報を提供することへのコミットメントを示しております。また通信機器分野におけるこのデバイスの実力を示す以外に、このスコア値は一般論としてベクトル処理がいかに性能的に優れているかを示します。」
この新しいPowerPC 970FXベンチマークについて、EEMBCの最適化規則を遵守しつつ、IBM研究所はGCC自動ベクトル化コンパイラを改良し、かつ、IBMパワーアーキテクチャー・パフォーマンスチームはPowerPCマイクロプロセッサファミリー:ベクトル/SIMDマルチメディア・エクステンション・テクノロジー・プログラミング環境マニュアルに記載されたVMX命令を用いてEEMBCベンチマーク・ソースコードを書き換えました。IBM社で行われたテストをEEMBC技術センターが再現し、その結果を認定しました。
「認定されたEEMBCテストスコアは顧客に対して正確なアプリケーション性能の情報を提供します。」とIBM社ディレクタであるロン・マティノが述べております。さらに「これらの認定スコアは970FXが通信機器アプリケーションにおいて業界をリードしていることを証明するものです。」
EEMBCのTeleBenchは、自動相関、コンボルーショナルエンコーダ、ビット割り当て、逆高速フーリエ変換、高速フーリエ変換、ビタビ復号化テストのカーネルから構成されるベンチマークスイーツです。Telemarkスコアは、これらの個々のベンチマークスコアの幾何学平均を取り、さらにノーマリゼーション・ファクターで割り算した結果です。これらのベンチマークのほとんどが自動ベクトル化能力の恩恵を受けます。たとえば、ビタビ復号化テストはコンボルーショナル・コードシーケンスの中でもっとも可能性の高い伝送シーケンスを算出することができます。ビタビテストで一番計算能力を必要とするのは、加算―比較―選択(ACS)動作シーケンスを実行しながら尤度関数を最大化することです。この処理はSIMD実行の恩恵を大きく受けます。
詳細なPowerPC 970FXのスコアレポートはwww.eembc.orgから 無償でダウンロードすることができます。
EEMBCについて
エンベデッド・マイクロプロセッサ・ベンチマーク・コンソーシアム(EEMBC)はシステム設計者が適切な組込みプロセッサを選択できるように、実用途に即したベンチマークを開発し、ベンチマークスコアを認定する団体です。EEMBCベンチマーク試験に提供されたプロセッサは、通信機器、ネットワーキング、民生機器、OA機器、車載・産業機器、組込みJava、ネットワークストレージの各用途に対応したそれぞれの負荷および能力を代表するパラメータについて認定が行われます。業界をリードする半導体ベンダー、IPベンダー、コンパイラベンダーの会員から構成されるEEMBCは、業界標準ベンチマークを確立し、EEMBC技術センターを通して認定スコアを提供します。
EEMBCの現在の会員は以下の通りです。アダプテック、アルテラ、AMCC、AMD, アナログ・デバイセズ、アーク・インターナショナル、アーム、アーティフェックス・ソフトウェア、アトメル、ブロードコム、コード・ソーサリ、エスマーテック、ファラデイ、フリースケール・セミコンダクタ、富士通マイクロエレクトロニクス、グリーンヒルズ・ソフトウェア、IARシステムズ、IBM、イマジネーション・テクノロジーズ、インプルーブ・システムズ、インフィニオン・テクノロジーズ、インテル、IPフレックス、LSIロジック、マーベル・セミコンダクタ、松下電器産業、メンター・グラフィックス、マイクロチップ・テクノロジーズ、MIPSテクノロジーズ、MQXエンベデッド、ナショナルインスツルメンツ、NECエレクトロニクス、ノキア、沖電気工業、パトリオット・サイエンティフィック、フィリップス・セミコンダクタ、PMCシエラ、クアルコム、レッドハット、ルネサス・テクノロジー、サンドブリッジ・テクノロジーズ、ソニー・コンピュータ・エンターテイメント、STマイクロエレクトロニクス、ストレッチ、サンマイクロシステムズ、テンシリカ、テキサス・インスツルメンツ、東芝、VIAテクノロジーズ、ウィンドリバー・システムズ。
TeleBenchおよびTelemarkはEEMBCの商標です。EEMBCはEmbedded Microprocessor Benchmark Consortiumの登録商標です。その他の商標は該当する会社の商標です。